クリエーターとオペレーター。
かつて編集の仕事をしていたころ、この違いを幾度も痛感した記憶がありました。
同じクリエイティブな仕事をしていても、前者は文字通り“創造”が主軸。一報後者は、指示に忠実に“制作”するタイプか。
依頼する相手がどちらか知らないと、話しがかみ合わず、コミュニケーションロスが多数発生し、お互い消化不良なまま締切を迎えてしまうなんてケースも。
当店の顔とも言えるBISKEROのロゴは、高崎出身のグラフィック/エディトリアルデザイナーの本多樹(たおき、以下タオキ)率いるタラコデザインにお願いしました。
タオキと初めて出会ったのは、某社が地域密着型フリーペーパーを立ち上げた2005年ごろ。彼はAD(アートディレクター)として、オーナーのzioは編集デスク(記事制作全般に関わるリーダー的なポジション)として、立ち上げメンバーに加わっていました。お互いまだ若く、初めての重責だったためか、当初はしばしばぶつかっていましたが、次第に意気投合。以来、今でも良い関係が続いています。
タオキにロゴを依頼したのはオープンのおよそ1年前の2022年の秋頃だったでしょうか。
事業計画書のサマリーを送り、電話で数回打ち合わせをして、後はお任せ。数週間後には4つ案が届きました。現在のロゴは、その中の1案をさらにブラッシュアップしてもらったものです。
断片的な情報とフワッとしたイメージでしかなかったBISKEROをさまざまなアングルから削り出し、究極まで削ぎ落としたエッセンスをロゴのデザインに濃密に落とし込む。20年近く一緒に仕事をしてきて十分理解していましたが、今回のロゴの仕上がりに改めてクリエーターの偉大さを実感し、彼に依頼して本当に良かったと心から思ったものです。
お店をやっているといろいろあります。迷いや肉体的な苦痛、挫折感。そんなとき、BISKEROのロゴを意識して見たり触ったりします。オープン前の理想に燃えていた気持ちを呼び起こすために。タオキたち意図していたか分かりませんが、このロゴはオーナーのzioにとってルーツを示す国旗や目指す方向を標す北極星のように大切な存在となっています。