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All About Biskero

about「看板」

「メニューなどの文字情報はなくてOK。とにかくインパクトのある絵が欲しい。あとはお任せするのでヨロシク!」

BISKEROの看板の制作をお願いしたイラストレーターで造形作家兼看板職人(?)のヤマタクこと山田タクヒロ氏へ送ったメールの内容はこんな感じでした。

彼と知り合ったのはかれこれ20年近く前のこと。オーナーのzioが雑誌の編集者をしていたころに仕事を依頼したことがきっかけです。学科は違いますが同じ大学で同じ学部の後輩ということもあったり、お互いまだ駆け出しで「なんでもやってやろう」というマインドだったりしたのもあってか、自然と親しくなっていった気がします。

仕事のシーンでは、左脳主導の理屈っぽいzioのオーダーを、右脳で見事に処理しイラストでなくては不可能な表現にまとめてくれる、とても頼りになるパートナーでした。なかでも彼がロゴやタイトル含め表紙の要素すべてを廃校のレトロな黒板に描いたイラストをそのまま表紙にした雑誌の仕事は、今でも強く印象に残っています。

そんな彼の実家が奇しくも看板屋さんということもあって、お店の看板を作るなら絶対にヤマタクにお願いすることをオープンする前から決めていました。

冒頭のようなゆるいオーダーでしたが、さすがはヤマタク。およそピザ屋の看板には見えないけれど、インパクトは番長クラス。しかも、赤と黄色の発色にこだわったあげく、原画は3版のシルクスクリーンで制作したそうです。

絵のインパクトもそうですが、まさか手作業のシルクスクリーンを手法として選ぶなんて全く想像していませんでした。もちろん仕上がりには大満足しています。いろいろ想定外でしたが、彼に依頼したことだけは間違っていませんでしたね。

また本人曰く、イタリアに住むヤマタクの友人にも見せたところ、その友人の友人(ややこしい)のイタリア人から「未来派っぽいね」とのコメントがあったそう。

機械化によるスピードを信奉する詩人マリネッティが起こした芸術運動のプロパガンダポスターと言われれば、確かにそれっぽい。ヤマタク本人は全く意図していなかったそうですが、無意識のところでイタリアのマニアックな芸術運動とリンクしてしまったというところも、なんとなく因縁を感じます。

看板を通じてヤマタクと再びセッションができたことが嬉しく、また楽しかったので、第2弾、第3弾も作ろうなんて話しをしています。乞うご期待!