ピザと聞いて、どんな形を思い浮かべますか? おそらく円形や扇形をイメージした人が多いと思いますが、BISKEROで提供するピザの形は、四角です。
イタリア、特にローマでは“Pizza al taglio(ピッツァ・アル・タリオ)”が主流と言っても良いくらい、四角い切り売りピザはポピュラーな存在。こうした「ピッツァ・アル・タリオ」を提供するピッツェリアでは、たいてい店の内外に簡単なカウンターが用意されていて、写真のように紙皿に載ったピザをフォークやナイフを使わず、ハンバーガーやおにぎりのように、手で持って食べるのが定番スタイル。まさに、イタリアのストリートフードですね。
「ピッツァ・アル・タリオ」は、天板=イタリア語で“teglia(テリア)”に生地を敷きつめてから電気やガスのオーブンで焼成するのが一般的です。そのため「ピッツァ・イン・テリア(天板で焼いたピザ)」とも呼ばれます。この天板が長方形なので、焼き上がったピザを均等に切り分けると、必然的に四角くなる、というわけです。どちらも同じモノを指しますが、ピザを焼く方法論に軸を置くと「ピッツァ・イン・テリア」、提供スタイルに着目した場合は「ピッツァ・アル・タリオ」になる、と覚えてよいでしょう。
ちなみに日本でも人気の高いナポリピザは、500℃近い高温で一気に(およそ90秒)焼くのが一般的ですが、天板で焼く「ピッツァ・アル・タリオ」の焼成温度は250℃前後。焼成時間も12〜15分と長くなります。ナポリピザがもちっとした食感だとすると、「ピッツァ・イン・テリア」の場合は、外側がカリッと中はサクッと軽いのが理想型とされているようです。というのも、ローマではピザのことを「クリスピー」の意味のイタリア語“scrocchiarella(スクロッキアレッラ)”と呼ぶことくらいですから、彼らにとってそうした食感がいかに重要かお分かりかと思います。
とはいえ「ピッツァ・アル・タリオ」は、ナポリピザほど類型額的、方法論的に厳格な基準がないため、お店の数だけ、ピザ職人の数だけ表現や解釈の仕方があると思います。2023年5月に視察と称し、有名無名問わずローマでさまざまなお店の「ピッツァ・アル・タリオ」を食べ歩きしましたが、“四角い切り売りピザ”というスタイル以外は、特に規格的な共通点を見つけることはできませんでした。
ということで、BISKEROではカルチャーとしての本場ローマの「ピッツァ・アル・タリオ」をリスペクトしつつ、群馬県産の小麦を使った独自の「ピッツァ・アル・タリオ」を目指しています。