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about 「ロッサ」

“rossa(ロッサ)”は、イタリア語の「赤」を意味する形容詞です。
イタリア語の名詞、形容詞には、単数形と複数形以外に男性形と女性形があります。単語の最後の母音が“o”で終わるものが男性形、“a”は女性形であることが多いです。

イタリア語で「赤」の名詞は男性形で“rosso”ですが、形容詞の場合は状態を示す言葉(主に名詞)の性と数に応じて変化します。たとえばフェラーリの名車“testarossa(テスタロッサ)”は、搭載するエンジン上部のカムカバー(testa)が赤く塗られていることから、女性形の“testa”に引っ張られて“rossa”になります。

ここで言う“rossa(ロッサ)”も、女性形の名詞“pizza”に付く形容詞なので女性形(単数形)となります。

ピザ界隈で「ロッサ」と言えば、生地にトマトソースと塩、オリーブオイル、オレガノだけを載せたシンプルなピザを指すのが一般的です。特に「ピッツァ・アル・タリオ(切り売りピザ)」では、お手頃な定番メニューとして根強い人気を誇っています。

名車ポルシェ911には、一番安いエントリー仕様から高性能&豪華装備を誇る最上級モデルまで、数多くのグレードが用意されています。新型が登場するたびにどのグレードが買いか、といった話題が自動車雑誌で取り上げられる程、最適解を見つけるのが難しい(楽しい)モデルと言えるでしょう。そんな記事を読んでいると、実は多くの識者が“素のポルシェ”、つまり装備が最も簡素かつ一番安いエントリーグレードを薦めていたりします。曰く、最も911らしさを味わえるから。

切り売りピザの「ロッサ」も同様に、ローマっ子に限らず味にうるさい人ほど“素のピザ”、つまり「ロッサ」に強いこだわり(愛着?)を持っていたりするようです。なぜならそのシンプルさゆえに、飽きが来ないだけでなく、使っている小麦、生地の発酵具合、成形(厚み)、焼き加減、トマトソースの量、味付けなど、ピザ作りの基本中の基本となる要素がスケスケなくらい分かってしまうから。だから「ロッサ」がおいしいお店は他のメニューも概ね安心して食べられるだろうという判断軸になっていたりもします。

見栄えが豪華な具沢山ピザもいいですが、シンプルな「ロッサ」はお手頃だけではなく多少冷えていてもおいしく食べられる点も魅力。オーブンでしっかり詰まったトマトソースの甘みと酸味は、カリッとした生地との相性も抜群ですよ。

当店でもそんな「ロッサ」を提供できるように、日々試行錯誤を重ねているので、もしショーケースで見かけたらお試しください。